チェロ、小川洋子
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チェロ
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ご無沙汰しておりました。先週は前回の記事に書いたとおり、幹部報告を含めて、仕事の追い込みで更新ができませんでした。でも仕事の方は無事に終わり、幹部報告も自分のプレゼンはかなり上手くいったかな、と自負できるものでした。やっぱり準備がものをいいますね。
そんなわけで、私の就職後初仕事は無事に幕を閉じ、今月から新たな部署へ移動して新しい仕事を担当しています。今までの仕事とは全く違う仕事なんですが、やっぱりまずは勉強、勉強です。うず高く私の机に積まれた書類、仕事関係の本を見るたびに呆然としてしまう日々ですが(笑)
さてそんな中でもチェロ教室には通っております。早速二回目の授業では、弓を使った簡単な音だしレッスンです。曲に至るのはまだまだ先のようですが、それでもチェロの「震え」のなんと心地いいことか。それにしても、本当にチェロって音を出すのが大変で、力んで上手く弓を動かせません。でもやはり自分で音を出していると、自分の楽器が欲しくなるもので、チェロのパンフレットを見るたびに「欲しい…」と涎がでてしまいます。
それにしても感じるのが、楽器演奏の肉体的合理性ですね。正しい動きで弓を動かす時や、正しい姿勢でチェロを構える時と、それらから外れた動き・姿勢の時の身体的負担は全く違います。同じ動作をしているはずなのに、体は正直に答えを出してくれています。
チェロを含めて弦楽器はその誕生時から、演奏法は大体19世紀中頃までには基本は確立されていますから、いかに合理的かと驚愕してしまいます。
さて先週はあまり本は読めなかったので、一冊だけ読了本をご紹介。

小川洋子『薬指の標本』(新潮文庫) 楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。人々が思い出の品々を持ち込む「標本室」で働いている「わたし」は、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そして「わたし」は…。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。
表題作が大好きでした。「恋愛の痛み」を「身体的痛み」に小説という「言葉」を通して変換する、それが非常に上手くいっている作品です。「恋愛の痛み」=「心」、「身体的痛み」=「肉体」、「言葉」といった全く別次元の要素を、有機的に結合しているわけですが、それが非常に静謐な物語になっているのも魅力です。「わたし」の標本技術士への愛も、狂気をはらんでくれば来るほど魅力的になる。といっても彼女の薬指のエピソード(呼んで確認して下さい)から言えば、彼女は十分に狂気の中にいるのかもしれませんが…。
『博士の愛した数式』も素敵な作品でしたが、個人的にはこちらが好きかな。江國香織の以前の短編作品にはこの「静謐」な雰囲気がありました。今は失われてしまったけど。その意味で、自分にとって貴重な作家さんになる予感がします。
蛇足ですが、この作品で夏休みの読書感想文を書いた中学生がいたら読んでみたいなあ。
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